研究概要 |
本研究では可変周波数形スイッチングアンプ(ヒステリシスアンプ)のスイッチング信号をフィードバック制御に利用したセルフセンシング磁気軸受について,理論と実験の両面から検討を行った.その成果を以下のようにまとめられる. まず,可変周波数形スイッチングアンプを供給電源・動作象限の面から分類し,それぞれの方式のアンプについて,動作の解析と回路の試作を行った.この中でも,ブリッジ回路を利用したヒステリシスアンプは (1) 単極性電源を使用しているのにもかかわらず,電流減少・増加の追従特性を揃えることができる. (2) 理論的には,スイッチング周波数は電流指令値に依らない. など,セルフセンシング磁気軸受のアンプとして優れた特徴を持っていることを示した.また,試作した各方式のアンプにおいて,そのスイッチング周波数が電磁石とロータの間のギャップの大きさに比例することを実験的に確認した. つぎに,可変周波数形スイッチングアンプ(ヒステリシスアンプ)のスイッチング信号が周波数出力形変位センサの出力信号として扱うことができるという観点から,制御系の構成方法を以下のように分類し,それぞれの方法の特徴を明らかにした. (1) F/V変換を利用した制御方法 (2) 位相比較器を利用した制御方法 (3) カウンタを利用した制御方法 さらに,試作したヒステリシスアンプを備えた磁気軸受装置にこれらの制御方法を適用し,セルフセンシング磁気浮上を実現することに成功した. 本研究で得られた結果は,可変周波数形スイッチングアンプを利用したセルフセンシング磁気軸受の基盤技術となるものである.今後は,これらの成果を踏まえて,より実用化に適したヒステリシスアンプを開発していくとともに,セルフセンシング磁気軸受の長所を生かしたコンパクトな磁気軸受装置の開発に取り組む予定である.
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