研究概要 |
発電ボイラの変圧運転を正確に模擬するために,MMS(Modular Modeling System)を用いて,強制循環ボイラ,過熱器,減温器,高圧タービン,節炭器,バルブ,復水器,ボンプ,脱気器,給水加熱器などの100個ほどのモジュールからなる発電プラントシミュレータの開発を継続した.今年度はその評価ならびに制御系設計用途に向けた使用可能性を調査した. 定格負荷時の定常値はおおむね誤差なくシミュレートできるようにモデルパラメータの修正ができた。しかし,動特性の評価を十分に行うには至らなかった.その理由は,シミュレータの中で動特性がかなり早い応答を持つ設備(高圧タービンなど)とかなり遅い応答を持つ設備(ボイラのレベル部分,再熱器など)が混在しており,数値計算上Stiff的になり計算負荷が非常に高くなっていることである.その原因を調べるためにシミュレータをサブプラントに分割し,定格負荷の近傍において得られたサブプラントを線形化し極を調べた。その結果,高圧タービンなどの設備に対して再モデリングしなければならないと思われるに至った.しかし現在のMMSにはこのような性質を持った高圧タービンモジュールが提供されておらず,かなり難しいと思われる. 制御形設計の手法は内挿ゲインスケジューリングモデルに基づく負荷と圧力指令値からの前向き補償を基本とし昨年度に提案している.MMSによる発電プラントシミュレータのプロトタイプを用いて有効性を確認したが,正確なシミュレータが完成に至っておらず,その手法の評価はいまだされていない.
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