研究概要 |
本研究課題では、マシンビジョンの各応用に適した3次元情報入力装置として,人間の顔の形状および表面の色情報を入力する装置および内視鏡型レンジセンサを開発することを目的とする.申請者はこれまでに30cm立方程度の標準的な大きさの物体を測定する汎用型のレンジセンサを開発した実績があり,これをもとに以下の2種類のレンジセンサを開発・試作し,実用性を評価している. 1.顔形状および色情報計測装置 顔計測において留意すべき点は,1)データの欠損が生じないこと,2)短時間で計測できることである.顔は鼻の近傍に凹凸を持ち,単純計測では隠蔽によるデータの欠損が生じる.そこで隠蔽が鼻の左右に生じやすいことを利用して,形状計測用のレーザ光源および色計測用の照明をそれぞれ左右2箇所に配置し,計測範囲を顔の右半分と左半分に分割して形状データ,色情報それぞれの欠損を補う手法を採用した.これにより,最高約0.6秒で顔の形状と色情報を取得するシステムが構築できた.左右の形状データ間で位置ずれが生じることが懸念されるが,高精度なキャリブレーションによって解決できることを確認した.また,レーザ光源の目に対する安全性が問われるが,本方式はJISで定められた安全基準を満たしていることも確認した.今後は,計測したデータを効率よく記述し,利用する手法が必要となる. 2.内視鏡型形状計測装置 本課題では通常の内視鏡(カメラに光ファイバによるレンズ系を付加したもの)に形状計測用のレーザスリット照射機構を実装し,内臓患部の形状計測装置を構成している.レーザスリット照射機構は,申請者らの考案したレーザ光学系と光ファイバを束ねたレーザ光伝達系を組合せて実現可能である.また本装置に適した調整及び精度評価用の治具を新たに製作し,性能評価を実施している.評価が終了次第,実際の内臓等を計測する実験を行う予定である.
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