研究課題/領域番号 |
08555107
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応募区分 | 試験 |
研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
呉 智深 茨城大学, 工学部, 助教授 (00223438)
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研究分担者 |
吉沢 弘之 東燃株式会社, トウシート事業室, 主任研究員 課長補佐
睦好 宏史 埼玉大学, 工学部, 教授 (60134334)
町田 篤彦 埼玉大学, 工学部, 教授 (50008869)
福澤 公夫 茨城大学, 工学部, 教授 (50165271)
岩松 幸雄 茨城大学, 工学部, 教授 (10160136)
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キーワード | コンクリート構造 / 耐震補強工法 / 炭素繊維シート / 剥離破壊 / 破壊力学的構造解析法 / 複合補強効果 / 耐久性評価 / 靱性評価 |
研究概要 |
本研究の研究目的を達成するために、炭素繊維シートによる接着工法の耐久性に関する検討、被害コンクリート構造物の解明、補強計画、耐震診断、既存計算設計法および精算法による補強された構造物の典型破壊型の整理とメカニズム解明、大規模解析手法の一般化整備と大規模構造解析、一連の実験確認、設計施工規準のまとめなどの計画で研究を進めている。本年度の実績としては、 1.鉄筋コンクリート構造物の劣化部位、原因の解明に関する調査研究を実施し、被災コンクリート橋脚や既存不適格構造物のFRPシートによる適用可能とする範囲などの補強計画について検討を行い、亀裂抑制補強、曲げ耐力補強やせん断耐力補強、および靱性補強の指針を明確にした。 2.時系列的な信頼性解析手法や維持管理エキスパートシステムによる脆弱構造物、特にコンクリート橋の各要素に関する耐震健全性診断や寿命予測方法を提案し、FRPシート補強による複合構造システムの信頼性解析を試みた。また、構造物の静的な挙動による構造物の劣化範囲や程度を同定する手法を開発して、大型化構造物の適用や精度などに関する検討を行ってきた。 3.既存計算設計法および変形適合条件や各種材料の応力-ひずみ関係を導入した精算法により、補強された構造部材(梁、柱、スラブ)の典型的な破壊パターンに関する検討を行っている。 4.今まで開発された静的破壊力学手法を適用した剥離解析手法を改良し、ひずみ速度、剥離面での温度上昇および振動慣性の影響を考慮した解析手法や剥離破壊性状の解析プログラムを開発し、さらに不連続面を含めたFRPシート補強構造物の一般化構造解析ツールに取り込み、次年度の研究用解析ソフトを整備した。 5.コンクリート中の水分、塩分、樹脂種類などを変化させた実験を行い、付着工法の耐久性に関する検討はかなり進めている。 6.確認用の構造実験の段取りと予備実験として、a)付着滑りクラック成長のダブルせん断疲労試験およびコンクリートせん断クラックによるFRPシートの剥離性状に関する動的直接せん断実験を実施し、剥離破壊規準に関するパラメータの同定、炭素繊維シートの補強枚数、強度、剛性、付着健全率などを変化させた実験調査研究を実施した、b)初期損傷を導入したRC柱をFRPシートで補強し、その詳細な亀裂抑制効果や複合構造体の剛性・靱性複合効果の確認、コンクリート曲げ、せん断クラックの端部による剥離破壊現象の観察などの静・動的実験装置を開発し、幾つかの確認実験を行っている。次年度の実験研究ツールの整備に努めた。 以上により、本研究に関する本年度の計画内容を十分成し遂げ、次年度の研究計画の実施準備が既に整っている状態である。
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