本研究は、ゴムが緩衝材として有効な性能を持つ点に着目して、兵庫県南部地震のような衝撃的地震力に対し、落橋防止連結板と主桁とをつなぐピンに積層繊維ゴムを巻きつけることにより、ゴム巻きピンのエネルギー吸収性能を期待した新しい落橋防止装置を開発しようとするものである。本年度は多数の落橋防止装置供試体を製作して、静的試験、落錘式衝撃実験および高速載荷実験を行った。その成果は以下の通りである。 1.静的弾性荷重に対して、ゴムの変形に伴う荷重分散効果を期待することができ、特にピンと連結板の接触部近傍における応力集中を緩和できることが確認された。 2.弾性応答レベルの衝撃荷重に対して、ゴム緩衝ピンは顕著な衝撃力の低減効果を示し、連結板の応答ひずみの周期を2〜3倍程度に大きくするとともに、最大応答ひずみを1/3程度にまで低減させることが可能である。 3.静的破壊実験で得られたゴム緩衝ピンの限界吸収エネルギーは、従来型のピンより20〜25%大きくなることがわかった。高速破壊実験による限界吸収エネルギーについても、静的実験とほぼ同様の結果が得られた。 4.連結板厚と積層繊維ゴムの破断強度の間には、ほば線形関係があることがわかった。
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