本年度においては、可視化法により乱流状態にある複雑な流れの三次元構造を数量的に把握するために、まず、流れの場の断層面撮影を次々と高速かつ連続的に行う装置の開発に努めた。すなわち、流れの場をスリットを通した明るいシート状の平行光線で照らして、断層面内の流況を連続的に撮影する方法をほぼ確立した。本方法においては、マイクロコンピューターによる制御の下に、照明光を瞬時にかつ正確に任意の断面に移動できるようにし、その移動のタイミングがカメラのシャッターのタイミングと一致するようにされている。 つぎに、開発された手法を非定常流に適用して、非定常開水路流の乱流構造の特徴を明らかにするために、実験室において非定常流を発生させる装置を完成した。現在、非定常流に関する実験の準備中であるが、本年度内に非定常流を可視化撮影して、画像を解析するところまでは至っていない。その理由は、非定常流の流量変化の各段階における三次元流況撮影をする多量の写真画像が必要であり、写真用カメラを用いる場合にはそのコマ数に限界があるため、高速像度のビデオカメラ(2000×1000画素)を利用するシステムを導入しようとしているためである。 次年度のできるだけ早い時期に上記の問題を解決して、非定常開水路流を可視化撮影し、流れの可視化により得られた流れ画像を画像処理することにより、非定常の開水路乱流の三次元構造の特徴を明らかにする予定である。
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