洪水流の表面流況の航測写真から洪水流を解析する方法が開発されたが、洪水流の内部構造を知るには実験により洪水流の表面流況と内部構造との関係を明らかにする必要がある。また、洪水流はボイルや並列らせん流を含む三次元構造を有するとともに、流れの非定常性という重要な特徴をもつ。実験水路においてこの様な流れの構造を三次元的に把握することは河川工学上重要である。さらに、実際の河川の流れは蛇行しており、その断面形状も複断面となっている場合が多いので、種々の特徴をもつ複断面蛇行流の大規模乱流構造を把握して、どのような条件の河道が最適複断面河道であるかを明らかにすることが重要である。 本研究においては、まず、開水路内の三次元計測に関する実験方法と画像解析の方法が示され、解析結果を用いて開水路内の流速と渦度の三次元分布特性が明らかにされた。実験においては、水深3.7cmの開水路流れの水平断層面をスリット光で照明し、断層面の高さを水路床から水面まで2.5mmずつ次々と移動させて、水路床から水面までの15の水平断層面内の流況を35mmムービーカメラで約1secで撮影する方法が開発され、画像解析においては、多段階相互相関法が用いられている。次いで、120秒周期で最小流量0.5l/secから最大流量1.5l/secまで正弦波状に変化する開水路の非定常流の縦断面内の流況が可視化され、流況撮影結果が画像解析された。増水期の約4秒間の乱流構造を動画像的に解析した結果から、開水路の非定常流において形成される馬蹄型渦や並列らせん流の構造とその時間変化特性が明らかにされた。最後に、堤防法線形状と低水路法線形状の位相差と振幅を変えた3種類の複断面蛇行流の大規模乱流構造が可視化され、流況撮影結果の画像解析から最適複断面河道形状の流れの特徴が明らかにされた。
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