研究課題
建築構造物の制震システムの理論的構築とその実験的な検証を行うことを目的として、平成8年度は、構造制御理論および制御アルガリズムに関する基本的な理論開発と実大建物実験による検証を中心に研究を進めた。1)地震のような不規則な外乱を受ける建築構造物を対象にして、構造制御の理論開発を行った。先ず、一般に構造物は未知なパラメータを含むため、構造物系ならびに地震外乱モデルに含まれる種々の不確定、不規則性を考慮したパラメータ同定および応答推定法を導いた。この方法を発展させ、構造物の適応推定-制御の方法論的ならびに数値解析的検討を行った。2)制御システムを検証するために、京都大学防災研究所に既設の5階建鋼構造実大試験架構を用いて地震波加振実験を行った。ここでは、5階および3階に設置された2台の加振装置と屋上階に設置されたAMD型制震装置を用いた。特定の地震波入力に相当する建物振動を2台の加振装置を用いて発生させるシステムを構築した。3)従来よく用いられてきたLQ、LQGなどの制御則の他に、極配置法やH^∞制御理論に基づく制御則による実験を行い、制震効果の比較検証するとともに制震システムの性能評価を行った。4)上記の実大構造物による地震加振実験に併せて行った数値シミュレーション解析から、制震システムを含む構造物系のモデル化やコントローラなどの設計が妥当なことを検証した。5)今後予定している振動台での建物モデルを用いる2方向水平加振実験に備えて、各種制御則の開発や実験計画について詳細に検討した。
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