研究課題/領域番号 |
08555142
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中島 正愛 京都大学, 防災研究所, 助教授 (00207771)
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研究分担者 |
岩井 哲 京都大学, 防災研究所, 助手 (60184850)
井上 一朗 大阪大学, 工学部, 助教授 (40029294)
鈴木 祥之 京都大学, 防災研究所, 助教授 (50027281)
藤原 悌三 京都大学, 防災研究所, 教授 (10026031)
野中 泰二郎 京都大学, 防災研究所, 教授 (60027224)
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キーワード | 兵庫県南部地震 / 柱はり仕口 / 塑性変形能力 / 溶接 / ひずみ速度 / スカラップ |
研究概要 |
ノースリッジ・兵庫県南部両地震において続出した溶接柱はり仕口破断に着目し、「溶接法」、「載荷速度」、「載荷履歴」の三つの切り口から、その原因を同定することを本研究の目的としている。本研究は以下の6ステップから構成されており、このうち二年度にあたる本年度において(3)〜(5)を実施した。 (1)柱はり仕口に対する既往の実験結果の収集とデータベースの構築 (2)兵庫県南部地震における柱はり仕口被害実態詳細調査 (3)溶接法を変数とした柱はり仕口の準静的載荷実験 (4)載荷速度を変数とした柱はり仕口の動的載荷実験 (5)数値シミュレーションによる柱はり下フランジ溶接部に作用するひずみ速度レベルの推定 (6)実験結果の分析と最終成果の取りまとめ (3)「溶接法」に焦点を当てて、板厚、積層法、パス間温度、積層形状を変数とした一連の実験を実施することからその影響度を検討した。その結果、大入熱による1層1パス溶接では早期破断が続出するなど、積層法は柱はり仕口の塑性変形能力を左右する重要な因子であることが明らかになった。 (4)同一条件によって製作された試験体を対象に、同じ変位履歴を載荷速度を変化させて載荷することから、載荷速度による復元力特性と破断特性の変動を分析した。その結果、動的載荷によるほうが高い塑性変形能力が得られるという、研究計画当初の予測とは逆の性状が認められた。また動的載荷によると破断はより延性的になることもわかり、その有力な理由として、載荷中の顕著な温度上昇が挙げられることを明らかにした。 (5)一連の地震応答解析から、現行設計が想定する大地震に対して、最大層間変形角速度や塑性化する梁端部の回転角速度は、0.1〜0.15rad程度であることを導いた。この速度は(4)の動的載荷実験において与えた回転角速度にほぼ匹敵している。
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