研究課題/領域番号 |
08555144
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
岩瀬 昭雄 新潟大学, 工学部, 教授 (30114391)
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研究分担者 |
佐久間 哲哉 新潟大学, 工学部, 助手 (80282995)
吉村 純一 小林理学研究所, 建築音響研究室, 主任 (00142050)
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キーワード | 遮音 / 残響室 / 伝達関数 / 質量則 / コインシデンス効果 / 2重壁 / 共鳴透過 / ディジタル信号処理 |
研究概要 |
研究の初年度では、特殊な残響室などを用いない単板の遮音性能の新しい評価試験法として、一般の室において、小面積の板材料の4隅を点支持する設置条件のもと、上面に回折波を受音しないように重い金属で囲った小型マイクロフォンで透過音圧を受音し、板材料への入射音圧との伝達関数分析から板材料の遮音性能を評価する方法を検討した。研究の2年目として、2重壁構造へ適用可能な評価試験法の開発に取り組んだ。すなわち、上記のような設置条件で、そのまま2重壁構造の試験を行うと音源側の1枚目の板材料を透過して弱まった音波に比べ、回折波が透過側の板材料を直接励振し、本来よりかなり強い励振状態となり、正しい遮音性能の評価ができなくなる。そこで、厚さ2mmの重いアクリル板で構成した遮音箱を用いて回折波を遮断することを考え、音源側の1枚目の板材料を透過した音波のみによって透過側2枚目の板材料が励振され、さらにこれを透過して再放射された音波を透過音として受音し、入射音と比較する方法を試みた。この結果として、単層壁の構造の基本的遮音特性はもとより、2重壁構造とすると単層壁よりかなり遮音性能が向上し、ほぼ残響室で得られるのに匹敵する透過度が観測できることが判明した。また、2重壁構造で特有で、2枚の板材料が質量、中空部の空気層がバネとして働いて構成される共鳴現象による遮音性能低下を生じる「低音域共鳴透過」が明瞭に観測されることと、板材料の厚みを変えたり空気層厚を変化させることによる共鳴周波数の変化も明瞭に把握できることが判った。特に、中空層内の音圧と入射音圧との伝達関数分析を行うと、低音域共鳴周波数では顕著な音圧増幅が生じていることも判明した。このようなことから、2重壁構造についても1平方米程度の試験体で評価可能なことが確認され、初年度の成果に加えて当初の研究目的が達成されたと判断される。
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