研究課題/領域番号 |
08555149
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研究種目 |
基盤研究(A)
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応募区分 | 試験 |
研究機関 | 東京国立文化財研究所 |
研究代表者 |
西浦 忠輝 東京国立文化財研究所, 国際文化財保存修復協力センター・環境解析研究指導室, 室長 (20099922)
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研究分担者 |
肥塚 隆保 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター・遺物処理研究室, 室長 (10099955)
木川 りか 東京国立文化財研究所, 保存科学部・生物研究室, 研究員 (40261119)
朽津 信明 東京国立文化財研究所, 国際文化財保存修復協力センター・環境解析研究指導室, 研究員 (50234456)
松本 修自 東京国立文化財研究所, 修復技術部・第一修復技術研究室, 室長 (80099960)
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キーワード | 古建築 / 石材強化 / 合成樹脂 / 文化財保存 |
研究概要 |
現在石造古建築の保存、修復に用いられている石材強化保存用合成樹脂および近年開発された新しい合成樹脂の基本的な物性、即ち、石材への浸透性、石材への凝集力付与効果(強化力)、処置効果の持続性(耐久性)等について、実験室における評価実験を行った。その結果、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、数種のシリコーン樹脂が、基本的に良好な性能を有するものとして選定された。これら選定された樹脂について、更に細かい評価実験を現在実行中である。一方、現場実験を行うための石材古建築フィールドとして、いくつかの文化財古建築を選定し、石材の劣化状態と環境条件につての詳細な調査を行った。以上の結果、本年度得られた主な知見は以下の通りである。 ・石材を強化し保存するためには、樹脂が石材中に深く浸透することが絶対条件である。この点から低分子量のシリコーン樹脂溶液が優れていることが確認された。 ・石材への凝集力付与力(強化力)という点では、有機系の樹脂であるアクリル樹脂、エポキシ樹脂の方が無機系のシリコーン樹脂より優れている。従って、劣化が著しく、大幅に凝集力を失っている石材に対しては、シリコーン樹脂のみでは強化しきれず、有機系樹脂との併用が必要となろう。 ・各樹脂の長所、短所を性格に知り、石材の状況に応じた的確な使い分けが重要であり、この観点に基づいての評価実験を今後続けていく。
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