研究概要 |
固体電解質を用いたリチウム回収と同位体分離に関する基礎研究を進めるため, (1)固体電解質のイオン伝導度を向上させるイオン置換の研究(2)イオン伝導のメカニズムの研究(3)固体電解質るつぼの作成条件 について詳しく検討した。その結果下記の結果を得た。 固体電解質のイオン伝導度を向上させるイオン置換の研究 (La,Li)TiO_3のイオン伝導度を300Kにおける1×10^<-3>S・cm^<-1>より向上させるべく(La,Li)をK,TiをFe^<4+>,Nb^<5+>,Ta^<5+>で置換した結果,最大イオン伝導度は300Kで1.5×10^<-3>s・cm^<-1>まで向上した。しかし,イオン置換では局所歪み,サイトパーコレーション,キャリアー濃度の減少による伝導度の低下が顕著になり,イオン伝導の桁をあげるような物質設計には,イオン伝導のより詳細なメカニズムの解明が必要であること指摘した。 イオン伝導のメカニズムの研究 イオン伝導を伝導イオンと骨格の大きさの比率から考えた場合,第一近似ではクーロン力と反発力のみで経路と相対的な値を推定することができる。この方法により(La,Li)TiO_3では骨格に比べてリチウムイオンが大きすぎること,およびボトルネックでのイオン間の反発がイオン伝導の活性化エネルギーの値を支配していることを明らかにした。またモルキュラーダイナミックス法により,イオン伝導経路と支配する化学結合を明らかにした。 固体電解質るつぼの作成条件 るつぼの形状の(La,Li)TiO_3を作成するため,原料粉の粒度,バインダの混合比,成型圧力,焼成温度について検討した。その結果,粒度0.8μmの原料粉に0.5%のPVAを添加し,静水圧2ton/cm^2で成型し,1150℃6時間空気中で焼成した場合に最も緻密なるつぼが得られることを見出した。
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