研究課題/領域番号 |
08555157
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
無機材料・物性
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
安藤 義則 名城大学, 理工学部, 教授 (30076591)
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研究分担者 |
飯島 澄男 名城大学, 理工学部, 客員教授
大河内 正人 名城大学, 理工学部, 助教授 (50076626)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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キーワード | 多層カーボンナノチューブ / 水素ガス中アーク放電 / 空気中加熱精製 / X線回折 / ラマン散乱 / field emission / 電気伝導度 / breathing mode |
研究概要 |
グラファイト電極を雰囲気ガス中で直流アーク放電によって蒸発させ、陰極上にできた炭素質の堆積物を調べると、その中に多層カーボンナノチューブが含まれていることは、我々が1991年来、明らかにしてきたことである。その際、雰囲気ガスとして純粋な水素ガスを用いると、混入するカーボンナノ粒子の割合が少ない良質の多層カーボンナノチューブが作製できることも、最近(1997)見いだした。このように、もともと良質のカーボンナノチューブができている場合は、混入しているナノ粒子を除去して精製することも容易である。実際、空気中で赤外線放射ヒーターで500℃に30分間加熱するだけで、精製した多層カーボンナノチューブが得られる(1998)ことを見いだした。 純粋な水素ガス中で蒸発を行った場合、得られる多層カーボンナノチューブの中心の穴は1nmあるいはそれ以下と極めて細いことが特徴的である。また、その外側に入れ子状にグラファイトの層間間隔0.34nmと同じ間隔で配列したグラフェンシートの結晶性も非常に高いことが明らかになった。その結果として、精製した多層カーボンナノチューブを用いたX線回折やラマン散乱、あるいは電気伝導度の測定において、多層カーボンナノチューブに特有の多くの結果(1998)が得られつつある。特に、ラマン散乱の低波数領域(180〜500cm^<-1>)の測定で、単層カーボンナノチューブで観測された直径の逆数に比例するbreathing modeと類似のピークが見いだされたことと、1850cm^<-1>近傍にグラファイトでは見いだされていない全く新しいピークが見いだされたこと(1998)は特筆すべきであろう。また、これら物理的に精製した高品質多層カーボンナノチューブが、field emissionの電子源として実用的になりそうだという見通しを得つつある。
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