研究課題/領域番号 |
08555159
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応募区分 | 試験 |
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
山下 祐彦 岡山大学, 環境理工学部, 教授 (20032930)
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研究分担者 |
木村 邦生 岡山大学, 環境理工学部, 講師 (40274013)
横山 文義 岡山大学, 環境理工学部, 助教授 (50174876)
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キーワード | 芳香族ポリエステル / ウィスカ- / 高分子単結晶 / ポリ(p-オキシベンゾイル) / 溶液重合結晶化 / オリゴマー過飽和度 / 相溶性 / らせん成長 |
研究概要 |
長繊維状高分子単結晶の製造技術確立のために、平成8年度はp-アセトキシ安息香酸の貧溶媒中での重合によるポリ(p-オキシベンゾイル)ウィスカ-の生成に注目し、ウィスカ-の結晶長を支配する因子の解明を行なった。以下に成果をまとめる。 (1)結晶長は、オリゴマーと溶媒との相溶性と相関がある。相溶性が低下すると結晶核生成時のオリゴマーの過飽和度が高くなる。その結果、生成結晶核数が増加し、結晶長は減少する。逆に相溶性が増大すると、結晶化するオリゴマーの分子量が増大すること、ならびにオリゴマー生成速度が低下することにより、結晶径の増大と結晶のフィブリル化が起こる。よって、溶解度パラメーターが8.28〜8.41(cal/cm^3)^<1/2>の範囲にある溶媒が最長の結晶長を与える。 (2)結晶長は、モノマー濃度と相関がある。流動パラフィン(LPF)中の重合において、モノマー濃度が高くなると、(1)と同様にして結晶長は減少する。また、モノマー濃度が4重量%以上では結晶先端の平坦化が起こり、結晶のらせん成長が停止してしまう。0.5〜2重量%のモノマー濃度範囲が結晶の定常成長には好ましい。 (3)生成結晶核数は重合温度と相関があり、重合温度が高いほど核数が減少する。そこで、結晶の核生成と成長を異なる温度条件下で行なった。その結果、核数の制御は可能であるが、収率の低下が起こるために結晶長の増大は見られない。 (4)重合初期に結晶核を添加する不均一核生成では、添加する結晶核が少ないと新たな結晶核の生成、ならびに結晶径の増大が起こり、結晶長は増大しない。LPF中モノマー濃度1.5重量%での重合においては、新たな結晶核の生成を抑制するには、6×10^<12>個/ι以上の核の添加が必要である。 以上より、結晶核数の制御、ならびに定常成長のための条件が明確になった。最適条件下で重合系外からオリゴマーを連続供給することにより結晶長の増大が可能と考えられる。
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