研究概要 |
La-Ni二元系状態図におけるLaNi_5は最もNi側に位置する化合物でCaCu_5型構造を有し、常温で容易に水素を吸蔵・放出する。本研究では、まずLaNi_5を取り上げ、その組織と格子欠陥のキャラクタリゼーションを行った。その結果、従来の状態図の修正を含む新しい知見が得られた。これらの成果を生かして第2度の研究を進めるつもりである。 本実験で用いた資料は、アーク溶解により作製し、930℃-48時間、真空中にて焼鈍を行ったボタン状試料である。試料組成はNi/Laが5.0,4.5,4.0,3.5の4種類であり、以後それらをそれぞれLaNi_<5.0>,LaNi_<4.5>,LaNi_<4.0>,LaNi_<3.5>と表す。得られた結果を以下にまとめる。 1.LaNi_<5.0>,LaNi_<3.5>組成を有する試料はそれぞれLaNi_5単相、La_2Ni_7単相組織を有する。LaNi_<4.5>,LaNi_<4.0>組成の試料はいずれもLaNi_5相とLa_2Ni_4相の中間組成を有する相との2相組織を呈する。 2.LaNi_5とLa_2Ni_7の間にLa_5Ni_<19>組成を持つ平衡状態図には示されていない相が存在する。但し、このLa_5Ni_<19>相が平衡相なのか、あるいはどのような凝固過程で形成されるのかについてはまだ結論を得ていない。 3.La_5Ni_<19>相は主に菱面晶系の3R polytypeを有する。この相に多数観察された(0001)面上の面欠陥はpolytypeの形成が比較的容易であることを示唆している。 4.LaNi_5相中に存在する転位のバーガース・ベクトルは<0001>であり、{11_~00}<0001>系のすべりに関与すると考えられる。
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