研究概要 |
1.Fe-2Mn-0.2C合金における粒内フェライト核生成サイトとしての介在物の効果 (1)オーステナイト中のMnS量が多いほど粒内フェライト核生成の促進度合は大きい. (2)MnS単体あるいはMnS+VC複合析出物はに比べてMnS+V(C,N)複合析出物は粒内フェライトの核生成の促進が著しく大きい.MnSが大きいほど粒内フェライト核生成サイトとしての能力が高いが,V(C,N)が複合析出した場合にはより小さなMnSでもフェライト核生成サイトとして有効に働く. (3)1173Kで軽圧下(20〜25%)の熱間前加工を施した場合,MnS単体及びMnS+V(C,N)複合析出物を核生成サイトとする粒内フェライト変態が促進される. 2.オーステナイト中のB1型複合析出物上での粒内フェライト核生成の結晶学 Fe-12Mn-0.8c-0.3V合金のオーステナイトに対して非整合なMnS上に複合析出したVCは単独析出とは異なり母相に対する方位関係・晶癖面とも個々の介在物によって異なる.Fe-2Mn-0.2C合金におけるMnS+V(C,N)複合介在物から核生成した粒内フェライトはV(C,N)に対し低指数面および方向の平行関係がほぼ満たして生成するが,それは特定の関係ではなく,フェライト/V(C,N)界面の晶癖面も様々である.一方MnS/V(C,N)間にはランダムな結晶方位関係である. 3.Fe-12Mn-0.8C合金における粒内パ-ライト変態の核生成サイトとしての介在物の効果 (1)同じ変態条件ではMnSよりもMnS-VC複合析出物の方が粒内パ-ライト核生成サイトとしての能力が強い,オーステナイト中に単独析出したVCはパ-ライト変態の核生成サイトとしては働かない.変態温度を下げるとMnS単体でも粒内パ-ライト核生成サイトとしての能力が強くなる. (2)軽圧下の温間前加工を施すとMnSを核生成サイトとする粒内パ-ライト変態が促進される.
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