研究課題/領域番号 |
08555164
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
佐分利 敏雄 大阪大学, 工学部, 教授 (40029020)
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研究分担者 |
刑部 冨夫 新居浜工業高等専門学校, 助教授 (20029896)
福田 隆 大阪大学, 工学部, 助手 (50228912)
掛下 知行 大阪大学, 工学部, 助教授 (90127209)
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キーワード | 形状記憶 / Ti-Ni / 薄膜 / マイクロマシン |
研究概要 |
スパッタ法によりTi-Ni合金薄膜を作製し、示差走査熱量測定、X線マイクロアナライザ測定、電子顕微鏡観察、引張り試験を行い、組織および機械的性質について調べた。その結果スパッタ法で作製したままの薄膜は非晶質状態であり、これを結晶化させるため、バルクでは得られなかった薄膜特有の微細組織が得られること、またそれらを制御することによりバルクでは得られなかった新しい機械特性が得られることが明らかになった。 薄膜作製後の熱処理による結晶化過程、熱処理と組織との関係、特にGPゾーン状析出物、粒状Ti2Ni,板状Ti3Ni4などの析出物の形態、サイズ、マルテンサイト変態との関係について調べた結果、析出に関係した組織は組成、時効温度に依存して著しく変化することが明らかになった。また、スパッタままの非晶質薄膜について引張り試験を行い、特異な機械的性質を示すことを明らかにした。すなわち、(1)Ti-Ni非晶質薄膜の応力-歪み曲線は破断まで直線的である。1500MPaを越える高い破断応力まで降伏は起きず、塑性変形を起こさない。(2)もし破断前に除荷するなら試料はもとの形に戻り、5%以上の大きな歪みが回復可能である。(2)荷重付加過程と除荷過程の間でヒステリシスはほとんど存在しない。時効によりTi3Ni4の析出する組成領域のTi-Ni薄膜における、B2⇒R変態温度、B2⇒R⇒B19変態温度の組成依存性と時効温度依存性を調べた上で、それぞれの変態に伴う自発形状変化量の拘束時効温度依存性や拘束時効時間依存性を定量的に調べ、さらに拘束変形量と自発形状変化量の関係を明らかにした。
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