研究課題/領域番号 |
08555174
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研究機関 | 福井工業高等専門学校 |
研究代表者 |
安丸 尚樹 福井工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (90158006)
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研究分担者 |
伊部 壽夫 福井県工業技術センター, 新素材開発部, 主任研究員
沖村 邦雄 福井工業高等専門学校, 電子情報工学科, 助教授 (00194473)
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キーワード | プラズマ処理 / 窒化 / セラミックコーティング / 表面処理 / 窒化クロム / 複合処理 |
研究概要 |
本研究では、アークイオンプレーティング(AIP)装置を用いて、主として鉄合金に対し、プラズマ窒化とセラミックコーティングを複合させた、新しい表面高機能化処理を開発することを目的としている。AIP法とはイオンプレーティング法の一種であり、高速度で密着力の高い緻密な膜を形成することができ、合金膜が蒸着可能などの特徴を有し、窒化処理との複合化もし易い。セラミック膜としては、チタン系の膜と比較して高靭性で厚膜化がしやすく、耐食性・耐酸化性に優れる窒化クロム(CrN、Cr_2N)を約20μmまで厚膜化してプラズマ窒化された試料に蒸着し、物理的性質や機械的性質を調べた。その結果、複合処理されたCrN膜が、高荷重下でも非常に優れた耐摩耗性を維持することが判明した。さらに、高靭性化と厚膜化が期待されるサ-メット膜を今までに報告例のないCr-Ni系の窒化物膜で検討した。すなわち、カソードターゲット材としてCr-Ni合金を用い、Cr^*N(セラミック)とNi(金属)が微細に混合したサ-メット膜を作製し、約35μmの厚膜時までの特性を調べた。Cr^*Nは格子定数a=0.37nmのf.c.c.の構造を示し、Cr^*NとNiが微細に混合したサ-メット膜は、プラズマ窒化の前処理なしで優れた耐摩耗性を示すなど、普通のセラミックス膜と異なる性質を有していた。また、導電性がなく、抗菌性等の機能を有する酸化チタン(TiO_2)膜をスパッタリング装置で作製し、TiN・CrNのような窒化物系導電性膜の性質と比較検討を行った。本研究の成果により、セラミック膜の応用範囲が、従来応用例の少なかった低合金鋼のような硬度の低い金属まで広がることが期待される。
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