研究課題/領域番号 |
08555176
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
斎藤 秀俊 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (80250984)
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研究分担者 |
大塚 智雄 アルプス電気(株)電子部品事業本部, 研究員
飯塚 雅博 アルプス電気(株)電子部品事業本部, 主任技師
大塩 茂夫 長岡技術科学大学, 工学部, 教務職員 (90160473)
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キーワード | アモルファス膜 / 窒化炭素 / 硬質膜 / 磁気記録ヘッド / パ-マロイ / ECRプラズマCVD / オージェ電子分光法 / 付着 |
研究概要 |
本研究では、現在最も高速走行を必要とするデジタルビデオテープ用フェライトヘッド上に窒化炭素膜を堆積し、10m/sの磁気テープ走行試験を行い、窒化炭素膜の耐摩耗性を評価した。窒化炭素膜は電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマ化学気相析出法で作製した。プラズマ室で窒素-メタンガスをECR条件で高密度プラズマ状態とし、プラズマ中のイオン種を負バイアスで基板方向に加速する。加速されたイオンは特に加熱されないフェライト磁気ヘッド上で窒化炭素膜を堆積時間5-25分で形成する。5分の堆積で50nmの膜厚になった。なお、磁気ヘッド上にはあらかじめ数nmのTi薄膜がスパッタ法によりコーテイングされている。走行試験装置にヘッドをとりつけ磁気テープを走行速度10m/sの速度でヘッドと接触させながら走行させる。一定時間走行後、顕微鏡観察を行い写真撮影し、膜の摩耗状況を目視で評価する。全てのサンプルで走行開始後3-5分程度でヘッド表面に剥離によるキズができ始めた。これらは走行時間とともに進展し、大きな剥離を形成するようになる。特にコーテイング膜の膜厚により剥離の程度がかわることはなかった。以上の結果より、今回の走行試験の結果から窒化炭素膜はまだ実用に供することはできないことがわかった。今回の膜は組み立てられたヘッド上にコーテイングする必要から、加熱しないで作製された。加熱なしで作製された今回のサンプル強度は十分でなかったと思われる。さらにヘッド表面はフェライトであったため、膜の強化に必要な負バイアス電圧がサンプル作製時にサンプルに十分印加されていなかった可能性もある。窒化炭素膜の真のコーテイング効果を確認するためには、温度管理および適切なイオン加速電圧の印加状態でサンプルを作製する工夫が今後必要になる。なお、結果の詳細についてはホームページhttp://hts.chem.nagaokaut.ac.jpで公開している。
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