研究分担者 |
吉田 修一 日本ガイシ(株), 環境装置事業部, 課長(研究職)
向井 紳 京都大学, 工学研究科, 助手 (70243045)
河瀬 元明 京都大学, 工学研究科, 助手 (60231271)
増田 隆夫 京都大学, 工学研究科, 助教授 (20165715)
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研究概要 |
廃プラスチックは各種プラスチックの混合物である。この廃プラスチックを有用な軽質炭化水素や燃料油に転換する場合,プラスチックに含まれるポリ塩化ビニル(PVC)から有毒な塩素化合物が発生することと,ポリエチレンテレフタレート(PET)から生成する昇華性物質であるフタル酸による装置出口配管の閉塞が問題となる。そこで,平成8年度はPVCおよびPETの熱分解挙動と,分解反応用触媒の開発に関して研究を行った。PVCは380℃以下で塩素原子が塩酸や塩素ガスとして完全に脱離するが、残さが14%残り,炭化水素は25%得られた。PETの分解には水酸化鉄,酸化鉄,酸化ニッケルが触媒活性を示したが,水酸化鉄を用いた場合にはフタル酸が全く生成しないことを見出した。液状成分としてアセトフェノン,ベンゼン,フェノールが,ガス成分として主に二酸化炭素が得られ,残さは数%であった。また,水酸化鉄触媒はおよそ10nmの径の細孔を持ち,炭化水素やアルデヒフォ,カルボン酸等に強い吸着能を示す活性点が多く存在した。そこで,鉄成分を水酸化鉄の形で含有する鉄鉱石を選別してPETの分解反応に適用した結果,水酸化鉄に近い活性を示した。この結果から廃棄物処理に非常に安価な鉄鉱石を触媒として用いることができることが明らかになった。本触媒を用いてトリクルベッド型反応器により連続分解反応を実施した。そして,生成物分布に与える触媒粒子径,反応温度,time factorの関係を求め,それから新規な反応機構を提案し,それに含まれる全ての反応速度定数の温度依存性を求めた。これらの結果を基に,平成9年度は水酸化鉄,鉄鉱石を触媒として用いた混合プラスチックの連続熱分解を実施する。
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