研究概要 |
大気圧グロー放電プラズマは低圧グロー放電プラズマより操作性の面で優れている.本研究の目的は,大気圧グロー放電プラズマ発生装置,膜の表面処理,重合装置を試作し,本装置による分離膜の表面処理,プラズマ重合法により高機能性分離膜を作製しの本方法の有用性を評価することにある.今年度の成果は以下の通りである. 1.大気圧グロー放電プラズマ重合装置の電源の試作 大気圧下,ヘリウム雰囲気下で出力変換器出力電流が0〜50mA,出力変圧器出力電圧が0〜5Vrms,出力変圧器出力が0〜50W,出力周波数が3〜10kHzの領域で安定度が1%である常圧プラズマ用電源を試作した. 2.ベルジャー型プラズマ重合装置の試作. 現有の減圧プラズマ重合装置のベルジャー部分(ガラス製)を改良し,ステンレス製の重合装置を試作した.上記の常圧プラズマ用電源を用いて周波数を変化させてプラズマ発生状態を検討し,平行円板電極の下方電極上に誘電体として石英板を置くことにより安定な放電状態を達成することができた. 大気圧グロー放電プラズマを用いるシリコン膜の表面処理と分離膜への適用 多孔性ポリイミドにポリ(ジメチルシロキサン)をコーティングした膜(コーティング部の厚さ2μm)を種々の出力でプラズマ処理した.この膜の性能をCO_2/CH_4系のガス分離実験により評価した.周波数3kHz,出力一定の条件では,各ガスの透過速度(permeance)Rは処理時間とともに減少し,極小置を得て増加した.また,CH_4に対するCO_2選択性αはある処理時間で極大値になったのち低下した.出力30Wのときプラズマ処理時間が7.5分のとき場合,αは60,R_<CO2>=4x10^<-5>mol/(m^2・s・kPa)というかなり良好な性能を有する膜が得られた.
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