研究概要 |
1)バナジウム酸化物表面種はプロパンの光酸化反応の結果から、反応に関与する表面種のうち、ルビジウムイオンと相互作用を持つバナジウム酸化物は75%以上あるものと推測される。Rb_2O-V_2O_5/SiO_2のVK殻吸収XAFSを解析したところ、バナジウム酸化物は基本的にはVO_4構造を持つ、ルビジウムイオンは一個の酸素イオンを介してバナジウム原子と結合していることがわかった。 2)アルカンの光酸化は酸素非存在下でなくては進行しない。プロパンからは高選択的にアセトンが生成し、λ=407nmの光照射下では完全酸化反応が抑制される。イソブタンを用いた場合、生成物としてアセトン、tert-ブチルアルコールが得られる。2原子酸素酸化生成物であるアセトンには触媒の格子酸素が、1原子酸素酸化生成物であるtert-ブチルアルコールには気相酸素に由来する酸素原子が挿入されることが分かった。 3)アルカリイオン以外のアルカリ土類、希土類を添加してもアルカリイオンのような効果は得られなかった。また、アルカリイオンのドープの効果は、Li<Na<K<Rb【approximately equal】Csであった。表面クラスターモデルに対し、量子化学計算を行なったところ、密度汎関数法(DFT)に基づく結果が、Raman、EXAFSなどをよく再現することが見いだされた。DFTにおいて励起状態の活性種について計算を行なったところ、アルカリイオンをドープしたものとドープしていないものとでは光生成正孔の空間的位置が大きく異なっていることが見 4)連続流通系で反応を試したところ,可視光照射により1.2%の転化率、アセトンへの選択率が70%という好成績が得られた。また,8時間の反応においても失活は見られなかった。
|