研究課題/領域番号 |
08555200
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渡辺 公綱 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00134502)
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研究分担者 |
大部 良隆 住友化学工業株式会社, 筑波研究所, 主席
志賀 昭信 住友化学工業株式会社, 筑波研究所, 所長
新田 至 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (30272404)
上田 卓也 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (80184927)
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キーワード | リボソーム / 生体外タンパク質合成系 / ピリジン / テンブレート重合 / 可溶性タンパク質因子 / 鋳型重合 / トランスロケーション / 坑生物質 |
研究概要 |
生細胞中でのタンパク質合成反応はリボソームと呼ばれる細胞内小顆粒上で進行する。本研究では、リボソームを中心としたタンパク質合成系を、有機溶媒の一つであるピリジンと水との混合系中で再構築し、可溶性タンパク質因子やエネルギー源を一切必要とすることなく、アミノアシル結合のエネルギーのみで駆動する、新規な生体外タンパク質合成系の開発に成功した。 (1)反応効率はピリジン濃度が50%の時最大となるが、鋳型分子(mRNA)依存性は確認されなかった。ピリジン濃度を60%まで上昇させることにより、反応効率は低下するものの、鋳型分子(mRNA)依存性が確認された。特に、鋳型分子としてウリジル酸とシチジル酸の交互共重合体(poly UC)を用いることにより、モデル蛋白質としてセリンとロイシンの交互共重合体の合成を60%ピリジン中で試みたところ、目的となる交互共重合体が主な産物であることを確認した。 (2)大腸菌、酵母そしてミトコンドリア由来の全てのリボソームを用いることにより、ピリジン系の構築が可能であることが判明した。さらに、ピリジン系の抗菌スペクトルを抗生物質により検討したところ、水溶液系の場合と同様の結果が得られた。このことは、ピリジン系の基本的な作動原理が水溶液系と同様であることを示唆する。 (3)ピリジン系は可溶性タンパク質因子やGTPを一切必要としないため、いかにしてトランスロケーションが進行しているのかを解析した。その結果、ピリジンの作用によりリボソームの構造が変化し、自発的なトランスロケーションが進行していることが示唆された。 現在、本格的な機能性タンパク質を合成するためのモデル化合物として、poly UUUCを鋳型分子として用い、セリン-フェニルアラニン-フェニルアラニン-ロイシンを繰り返し構造にもつブロックポリペプチドの合成を試みている。
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