研究課題/領域番号 |
08555201
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
中村 徳幸 東京農工大学, 工学部, 助教授 (20198229)
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研究分担者 |
三浦 有樹 関西ペイント(株), 技術研究所, 研究員
中山 鶴雄 ぺんてる(株), 中央研究所, 表装エレメント課長
和地 陽二 資生堂(株), 研究開発本部, 主任研究員
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キーワード | 電気制菌 / 電極 / 電導性塗料 / バインダー樹脂 / 電位印加 / カーボン |
研究概要 |
近年、各種微生物による感染症が問題となったことから、微生物汚染を防止する殺菌技術の重要性が改めて見直されている。本研究は電気化学制菌法を利用した化粧品・食品・医療品などの製造プロセスにおける無菌配管システムの構築を目的とした。本年度は、導電性塗料の開発を目的とし、導電性塗料の設計、塗膜評価、電気化学制菌について検討した。高導電性の塗膜を設計するため、導電材として用いたカーボンは大きさの異なる粒子径を組み合わせ、バインダー樹脂固形分に対して50%の割合で充填した。その結果、比抵抗値が0.05Ω・cmと高導電性塗膜を有する電極が設計された。そこで、この電極を用いた微生物の電極反応について検討した。試験菌としてPseudomonas fluorescensを用いてサイクリックボルタンメトリーを行ったところ、0.7V付近に酸化ピークがみられ、細胞-電極間の電子移動反応が観察された。また、この電極を用いた微生物の電気化学制御について検討した。P.fluorescensを電極に付着させ、1.5Vの電位を印加したところ、30分間で95%の殺菌が確認された。さらに、負電位印加時における菌体脱離について検討した結果、-0.4V、5分以上の条件で菌体脱離が確認され、30分間では55%の脱離が認められた。そこで、導電性樹脂配管を作成し、交互電位印加による電気化学制菌について検討した。連続通水1ヶ月後の配管への付着生菌数は、電位を印加していない配管では1.7×10^3cells/cm^2となったのに対し、交互電位を印加した配管では40cells/cm^2となり、電位を印加しない場合の2.3%に抑制された。また、交互電位印加により循環させた水中の菌体数の減少も確認された。以上の結果より、今回開発した導電性塗料を用いて交互電位を印加することで、電気化学制菌が可能となることが示された。
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