1)波長分散型蛍光X線検出系の設計、作成 試料からの蛍光X線を高分解能で測定するために、点とみなせる試料領域からの蛍光X線を平板結晶で分散させる分光系および実験用の架台を設計・作成した。分光結晶のブラッグ角は自動回転ステージで調整を行うことが可能であり、分散された蛍光X線の強度分布はスリットで受光部の幅を制限した検出器を並進スキャンすることで測定を行う。作成した分光器について現在立ち上げを終了し、X線の遮蔽を含めて、目的とする機構を実現していることを確認した。エネルギー分解能の評価を現在行っている。 2)薄膜標準試料の測定 作成した蛍光X線分光系のエネルギー分解能は試料厚さに影響されることが理論的な検討から明らかになっている。したがって理想的な条件での分光系の性能評価には均質な金属薄膜試料を用いる必要がある。また放射光を用いた実験では有機金属化合物を配向させた薄膜についてしきい条件での蛍光X線分光を行う予定であるが、目的とする配向した試料の作成には基板温度を制御しながら薄膜を成長させる必要がある。したがって、金属の様な高沸点ターゲットには電子線加熱、有機物のような低沸点ターゲットには抵抗加熱を利用可能であり、また基板温度を制御することが可能な真空蒸着装置(ULVAC・MUE-ECO-EB-S)を作成した。現在、装置の立ち上げを行っている。
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