研究概要 |
高温燃焼で生成する微量酸化窒素は800℃程度以下の排ガス中では非平衡であり、適切な触媒の表面では二酸化窒素は強力な酸化剤、一酸化窒素は分解反応経路によって酸化剤にも還元剤にも働く。しかし、適切な触媒がないと分解しない。これらの分子が触媒上に次々と供給され定常的に分解するとき、触媒はその分解時に酸化窒素から解放される強力な酸化力(あるいは還元力)に包まれ、気相中の酸素ガス分圧に比べて極めて高い(あるいは低い)酸素分圧下にあるのと同じ状態になるであろう。この時、触媒となっている酸化物のバルク物性変化を検知すれば高温作動する窒素酸化物センサーができると期待される。 昨年度は鉄系ぺロブスカイト型酸化物の二酸化窒素に対する導電率変化の解析により,固体内の酸素活量が酸素中に微量に含まれる二酸化窒素により大幅に増加することを検証した。本年度は,500-800℃で酸素雰囲気(1-10^<-4>気圧)に微量の一酸化窒素が含まれると酸素のみの時に比べて若干導電率が減少し,微量の二酸化窒素が混入すると導電率が大幅に増加する銅系の2-1-4系ペロブスカイト関連酸化物について,導電率を酸素分圧、それに混入する一酸化窒素分圧,二酸化窒素分圧の関数として詳細に測定し,また固体内の酸素活量の変化を定量する改良した解析手法により解析を進めた.特に一酸化窒素による酸化物の還元と,それに伴う導電率の低下が観測される条件について,導電率低下の大きさは気相中での酸素,一酸化窒素,二酸化窒素の平衡関係からのずれの大きさで決まることを指摘した.この成果は電気学会誌に掲載された. 次年度は,チタン系のペロブスカイト型酸化物について同様の導電率を主体とした計測を進め,また微重量天秤による酸素欠損測定なども継続し,研究を取りまとめる.
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