研究課題/領域番号 |
08555217
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
神谷 寛一 三重大学, 工学部, 教授 (00024597)
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研究分担者 |
清水 泰雄 東燃株式会社, 技術開発研究所, 研究員
橋本 忠範 三重大学, 工学部, 助手 (10271016)
那須 弘行 三重大学, 工学部, 助教授 (20189179)
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キーワード | ゾル-ゲル法 / ポリシラザン / シリカガラス / 薄膜 / X線動径分布解析 / 赤外分光スペクトル |
研究概要 |
前年度、X線動径分布解析によって、ペルヒドロポリシラザン(PHPS)は確かに400〜450°Cという低温でシリカガラスに転化することが明らかになった。しかし、PHPSは高価であり、取扱いが不便であるので、これとゾル-ゲル法でシリカガラスの原料として広く使用されているTEOS(これから作られるゲルは500〜600°C以上でないと緻密なガラスにならない)を組み合わせて簡便かつ安価にシリカガラス薄膜を低温で作る条件を探索することが本年度研究の課題である。以下のように実験を進め、それぞれの成果が得られた。 1.TEOSを原料とし、従来のゾル-ゲル反応の途上でPHPSを混合する方法を試みたが、TEOS-シリカゲルのガラス化温度を500°C以下にすることはできなかった。これは、TEOSの加水分解条件(酸性または塩基触媒下、水の添加量)広範囲に変化させても得られるゲルの基本骨格がSi0_4の環状四量体(四員環)で構築されているためと考えられた。この四員環は、500〜600°C以上にならないとSi0_4の環状六量体(六員環)で構成されるシリカガラスには変換されない。 2.TEOSの加水分解で生成する四員環オリゴマーを分離し、アンモニウムイオンと反応させると、この構造は開環され、反応進行とともにシリカガラスの骨格となる六員環構造に変換されることが確認された。つまり、室温付近で、多孔性ではあるが骨格がシリガラスと同じものが得られたことになる。そこで、四員環オリゴマーに、ガラス化過程でアンモニウムイオンを発生するPHPSを加えて開環反応を誘起させることを考えた。 3.TEOSから調製した四員環構造オリゴマーとPHPSの60/40あるいは50/50混合物を空気中の湿気で加水分解する方法でシリコン基板上に成膜したところ、TEOSから従来法で作られるゲル膜と比べると、300〜400°Cで既にずっとシリカガラスに近い構造を持つガラス薄膜が得られ、当初の目標に近づくことができた。
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