研究課題/領域番号 |
08555223
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
村橋 俊一 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (60029436)
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研究分担者 |
織田 佳明 住友化学工業, 有機合成研究所, 研究員(研究職)
小宮 成義 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手
今田 泰嗣 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (60183191)
直田 健 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (20164113)
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キーワード | アルコールの酸化 / フェノールの酸化 / アルカンの酸化 / ルテニウム触媒 / 銅触媒 |
研究概要 |
オキソ金属活性種によるP-450酵素型の触媒的変換反応の開拓とそれに基づく工業プロセス開拓と精密有機合成への展開を目的として、前年度に引き続き低原子価金属錯体触媒と過酸化物によるP-450酵素型酸化反応の一般性と適用範囲の検討を行った。ルテニウム触媒存在下、種々の脂肪族アルコールをアルキルヒドロペルオキシドおよび過酢酸で酸化することにより相当するカルボニル化合物に温和条件下に変換できることを明らかにした。また同様条件下でフェノールをアルキルヒドロペルオキシドで酸化した場合、4位にアルキルジオキシ基を有するジエノン体が選択的に得られることも示した。 上記の研究過程から分子状酸素とアルデヒド存在下、低原子価遷移金属錯体からオキソ金属活性種を発生させる手法を見出し、前年度にこの原理に基づいて種々の金属錯体を触媒とするβ-ラクタムや炭化水素の酸素酸化反応を開拓しているが、今年度はアルコールの酸素酸化反応について検討した。2級アルコールをルテニウム・コバルト複合触媒-アセトアルデヒドの存在下に反応させると常温常圧の極めて温和な条件下に酸素酸化が進行し、相当するケトンが定量的に得られることが明らかになった。同様条件下1級アルコールからカルボン酸への酸素酸化も可能であることを示した。この触媒反応のアルカンの酸化に対する触媒効果を検討し、ナイロンの基幹原料プロセスとなるシクロヘキサンからシクロヘキサノンへの変換が、クラウンエーテル-銅触媒系により極めて高い選択性と効率で進行することを見出した。本触媒反応における実用性の検討は、次年度以降の継続課題として残された。
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