研究課題/領域番号 |
08555227
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
高橋 孝志 東京工業大学, 工学部, 教授 (80110724)
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研究分担者 |
深沢 義正 広島大学, 理学部, 教授 (50004502)
山田 晴夫 東京工業大学, 工学部, 助教授 (10175664)
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キーワード | ステロイド / 多環式化合物 / 連続ラジカル環化反応 / 分子内アルキル化 / 分子力場計算 / MM2遷移状態モデル / コンピュータ支援有機合成 |
研究概要 |
生理・薬理活性を発現する複雑な構造を有する天然有機化合物の合成を行う際に重要なことは、鍵反応や鍵合成中間体を創造し、多くの不斉炭素を立体選択的に構築可能な合理的な合成計画をいかに立てるかにある。その立体選択性や反応性を実際に合成を行う前に理論計算によって定量的に予測することができれば、合成計画を立てる際非常に有効な分子設計手法となる。そこで本研究では、医薬品として広く利用されている多環式構造を有するステロイド誘導体を標的化合物とし、連続ラジカル環化反応として複数の環と不斉炭素を一挙に構築可能な新規ステロイド骨格合成法の開発を検討した。その際、分子力場計算と分子軌道計算をハイブリッドしたMM2遷移状態モデルをいくつかの鎖状合成中間体に適用し、連続ラジカル環化反応の立体選択性および位置選択性について定量的な予測を行ない、本合成に適した合成中間体の分子設計を行った。ゲラニオールを出発原料に酢酸エチルを用いて2炭素増炭を行い、生じたアリルアルコールのクライゼン転位反応により鎖状合成中間体を合成した。連続ラジカル環化反応を用いてステロイドCD環部の構築後、保護したシアンヒドリンによる分子内アルキル化反応によりステロイドBCD環の合成を達成した。X線結晶解析を用いて生成物の立体化学を検討したところ、MM2遷移状態モデルによる予測通りの立体化学を有する多環式化合物であることがわかった。これにより、MM2遷移状態モデルが合成中間体の分子設計に有用であること、コンピュータ支援有機合成法が有機合成経路を検討する上で非常に有効な方法論になることが明らかになった。
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