研究概要 |
微小重力環境下における燃焼現象を解明するために必要な小形非接触測定装置の開発に関する研究を行った.本年度は,レーザを応用した小形非接触測定装置開発のための予備実験を通常重力下で実施し,測定装置の確立を行うとともに,燃焼現象に対する測定法の適用性を明らかにした.さらに,落下塔,航空機およびロケットを利用した微小重力実験に適用する際に必要な測定装置の主要緒言および性能に関する検討を行った. まず,レーザ誘起蛍光法を応用して,燃焼中の燃料液滴温度の非接触測定を行った.微小量のナフタリンとTMPDを添加した燃料液滴に紫外光を照射すると蛍光が現れ,その蛍光スペクトルが液体の温度により変化することを利用する.細い石英糸の先端に懸垂された燃料液滴を燃焼させ,そこに窒素レーザを照射し,液滴から発する蛍光像をCCDカメラで観察するとともに蛍光スペクトルをイメージインテンシファイア付多チャンネル光検出器で測定した.その結果,適当な異なる2波長における蛍光強度を測定することにより液滴温度が決定できること,およびこの測定法微小重力下における実験に適用可能であることが判明した.また,測定精度に検討を加えるとともに,測定法におよぼす添加有機物質の濃度,雰囲気中の酸素濃度等の影響を明らかにした. ついで,CWアルゴンレーザおよびパルスYAGレーザを光源とする平面レーザ散乱法により,燃焼液滴火炎内のすす濃度分布を測定した.レンズでシート状にしたレーザ光を火炎に照射し,火炎からの散乱像を干渉フィルターを通してイメージインテンシファイア付CCDカメラで観察した.このようにして,2次元すす濃度分布の可視化を行うとともに,得られた散乱像を画像解析装置で処理することにより,すす濃度の定量化を行った.本方法は,小形化が可能で,重力の変化に耐えうることが判明した.
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