研究概要 |
座屈許容設計を実施するためには,正確な座屈強度の把握と,座屈が発生した後の耐荷力および崩壊モードを明らかにすることが重要である。 この観点から,まず初めに,船体構造の重要な強度部材である上甲板と船底外板を対象として,連続防撓パネルとしての座屈・塑性崩壊挙動を明らかにした。すなわち,防撓材の影響を考慮してパネルの2軸圧縮座屈強度を算定する解析式を導き,防撓材の断面形状によらず,防撓材の効果で座屈強度が上昇することを定量的に明らかにした。また,最終強度およびその後の耐力は,初期たわみ波形の影響を大きく受けること,一方,実構造での溶接残留応力はあまり大きくなく,残留応力が座屈強度と最終強度に及ぼす影響も小さいことが明らかになった。 また,船底外板に関しては,水圧がある程度の大きさまでの範囲では,最終強度がほとんど低下しないことが明らかになった。それ以上の水圧となると最終強度は低下するが,その低下は縦方向の圧縮力が支配的な場合に著しい。 さらに,2軸圧縮および剪断を受ける周辺単純支持の矩形板を対象として,組み合わせ荷重下での座屈強度および最終強度を明らかにし,弾性座屈強度の評価式を導くと同時に厚板の場合の座屈強度すなわち最終強度を精度良く求めるための塑性修正式を新たに導いた。
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