研究概要 |
本年度もまず,座屈許容設計の適用に当たって重要となる,座屈強度算定法について検討した。具体的には,昨年度までの2軸圧縮を受ける場合の防撓パネルの局部座屈算定式を,防撓材ウェブのたわみに新たな項を追加して改良し,基本的にはパネルと防撓材寸法のすべての組み合わせに対して,適用可能な算式を導いた。 つぎ,水圧が連続パネルの局部座屈強度に及ぼす影響についても,解析対象の範囲を拡げ,昨年度提案した座屈強度算式の適用限界を明らかにすると同時に,水圧の影響について定性的な考察も加えた。その結果,水圧が連続パネルの座屈強度に及ぼす影響には,(1)周辺単純支持の座屈モードと異なる波形のたわみの水圧による発生;(2)たわみの発生に伴う面内応力の発生の2つがあることが明らかになった。また,船底外板パネルがトランス方向の圧縮荷重を受ける場合を対象として,水圧の影響を考慮した最終強度算式を新たに開発した。 さらに,本年度は新たに,パネルに設けられた開孔が,座屈強度に及ぼす影響についても,有限要素法による一連の弾性固有値解析を実施して明らかにした。その結果に基づき,船級協会で従来提案されている開孔影響係数の精度について検討すると共に,より正確な開孔影響係数の算式を提案した。また,船底桁およびフロアを対象として,水平スチフナ付きウェブおよび垂直スチフナ付きウェブの両方の場合を想定し,隣接パネルも含めた座屈強度に対する開孔の影響を明らかにした。 最後に,本年度は最終年度に当たるので,過去3年間の研究成果に基づき,座屈許容設計法適用に際して明らかになった事項を整埋すると共に,今後検討すべき問題点を取り纏めた。
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