本研究の成果は次の三項目にまとめることができる。 (1) 直交する三成分の磁力が計測可能な計測システムをNEDOが試作したシステムをベースに完成させた。本システムを利用して空中における基礎実験ならびに東北大学東八幡平フィールドの350m坑井を利用した実験を実施した。更に三成分磁力計の応答について理論的解析を行い、導電率分布についてボアホール周囲の指向性を有し、ボアホールイメージングツールとして利用できることを示した。 (2) 三成分磁力計測の同相成分と異相成分が周囲の媒質に対して独立な挙動を示すことを明らかにした。これを利用して三成分磁力計測による透磁率・導電率の同時検層法に関する理論的検討を行った。また三成分磁力計測を行うことで指向性インダクション検層に加え、高精度な感度を有する地層境界面深度の検知法としても利用可能であることを示した。 (3) 一成分のみの低周波電磁界を利用するクロスホールフィールド実験とトモグラフィ解析への応用を試みた。実際にクロスホール実験を2MHz-32MHzで8周波数を計測できるRIMシステムで実施し、システム評価ならびにトモグラフィ解析へ応用した。本実験は従来のボアホールレーダによるトモグラフィより低い周波数を利用するため、高導電率を有する地層中でも利用可能であることを示すことができた。 本研究により、坑井内三成分磁力計測システムによる地層識別が従来の導電率分布だけでなく透磁率分布も利用しながら行えることを理論的、実験的に示すことができた。この結果、地下き裂のキャラクタリゼーションへの応用が可能であることを示した。
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