研究課題/領域番号 |
08556015
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応募区分 | 試験 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
伊東 信 九州大学, 農学部, 助教授 (40253512)
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研究分担者 |
伊豆 博幸 宝酒造バイオ研究所, 研究員
佐野 睦 宝酒造バイオ研究所, 次席研究員
東 秀好 三菱化学, 生命科学研究所, 主任研究員
沖野 望 九州大学, 大学院・農学研究科, 日本学術振興会特別研
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キーワード | 糖脂質 / スフィンゴ脂質 / リゾ糖脂質 / SCDase / EGCase / GM1 / オリゴ糖 / 逆反応 |
研究概要 |
Pseudomonasに属する細菌が糖脂質に作用して脂肪酸を遊離しリゾ糖脂質を生成する酵素(スフィンゴ脂質セラミドN-デアシラーゼ;SCDase)を分泌することを見いだし、初めて本酵素タンパク質を精製した。SCDaseを用いることで簡単に天然型のD-erythro型リゾ糖脂質を調製することができる。興味深いことに、D-erythroリゾGM1およびリゾGM2は40μMの濃度で神経芽腫瘍細胞Neuro2Aにアポトーシスを誘導したが、GM1やステアリン酸及びスフィンゴミエリンのリゾ体は100μMでもアポトーシスを誘導しなかった。一方、EGCaseで調製したGM1のオリゴ糖は20μMで血清飢餓による神経細胞のアポトーシスを回避し、生存促進作用を示した。この作用は、シアリルラクトースやラクトースでは再現できず、ガングリオシドオリゴ糖に特有な機能であり、その作用メカニズムに興味が持たれる。 SCDaseは加水分解反応のみならず、加水分解の逆反応と脂肪酸交換反応を非常に効率よく触媒することを見い出した。加水分解反応と逆反応のキネティクスを詳細に検討したところ、pH酸性域で高濃度の界面活性剤存在下では加水分解が優先的に進むが、中性域で界面活性剤の濃度が下がると逆反応が優先的に進行することが明らかになった。逆反応を利用して、[^<14>C]標識した種々の糖脂質やスフィンゴミエリン及びセラミドを高収率で作製する方法を確立した。また、SCDaseを用いてアミノ脂肪酸や高度不飽和脂肪酸を導入できることも確認した。SCDaseによる脂肪酸の転移及び交換反応を利用することにより糖脂質の脂質分子種の再構築ならびに標識化が極めて容易になり、「糖脂質の脂質工学」という新しい研究分野が創出されることが期待される。
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