研究課題/領域番号 |
08556015
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
伊東 信 九州大学, 農学部, 助教授 (40253512)
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研究分担者 |
伊豆 博幸 宝酒造バイオ研究所, 研究員
東 秀好 三菱化学生命科学研究所, 主任研究員
沖野 望 九州大学, 大学院・農学研究科, 日本学術振興会特別研
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キーワード | エンドブリコセラミダーゼ / GM1 / オリゴ糖 / SCDase / 神経細胞 / アポトーシス / 分化 / 神経突起 |
研究概要 |
GM1のみならず、エンドグリコセラミダーゼ(EGCase)で調製したGM1-オリゴ糖にも神経突起伸展作用があることが見い出された。GM1オリゴ糖の有効濃度は、GM1に比べて高いもののガングリオシドの糖鎖自身に神経細胞の分化誘導能があることを示した初めての例として注目される。GM1には神経細胞の保護作用が知られているが、驚くことにGM1オリゴ糖にはGM1を凌ぐ生存促進効果が認められた。この効果は、Neruro2a細胞だげでなくラットのクロム親和性細胞腫PC12細胞でも、NGFの有無に関わらず観察された。しかしながら、シアリルラクトースやラクトースには神経細胞の分化や生存促進効果は見られなかった。GM1オリゴ糖は神経細胞のガングリオシドやその他のスフィンゴ脂質のde novoの合成活性を昂進することが見い出されたので、神経栄養因子様の作用をしているものと考えられる。 スフィンゴ脂質から脂肪酸が外れたリゾスフィンゴ脂質は、様々なスフィンゴ脂質代謝異常症において蓄積されることが知られていたが、最近になって正常組織や癌細胞にも微量であるが存在し、細胞内情報伝達系に関与していることが指摘されている。しかし、現在に至るまでリゾスフィンゴ脂質の生成機構に関しては有力な知見がなく、その生理機能に関しても不明な点が多い。私たちは、糖脂質及びスフィンゴミエリンに作用して脂肪酸を遊離しそれぞれのリゾ体を生成する酵素(スフィンゴ脂質セラミドN-デアシラーゼ;SCDase)を見いだした。SCDaseを用いて調製したD-erythroリゾGM1及びリゾGM2は40μMの濃度で神経細胞にICEを経由したアポトーシスを誘導したが、GM1やGM2は100μMでもアポトーシスを誘導しなかった。この結果は、糖脂質代謝異常症の真の病因がリゾガングリオシドの蓄積にあることを強く示唆している。
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