研究概要 |
本年度はTBMB試薬を改良した第二世代のキラル蛍光試薬MTB試薬のアミノ酸の画期的なD, L分離能と強い蛍光を応用した「新しいサブピコモルレベルのD, Lアミノ酸のキラル分析システム」を開発することを目的とした。具体的には、(1) MNB試薬によるアミノ酸の含水溶媒中でのアミノ基の蛍光ラベル化反応、(2)逆層ODSカラムによる全アミノ酸のD, L誘導体の迅速分離、(3)蛍光検出システムによるサブピコモルレベルの定量システム開発を検討した。生体試料をとり、8%のHClO_4を用いて除蛋白後、ヘキサン抽出により脂質を除き、アミノ酸を含む抽出液をIR-120樹脂に吸着させ、抽出条件により(a)全アミノ酸及び特定アミノ酸区分、(b)酸性、(c)中性、(d)塩基性区分または個々のアミノ酸を得た。これにMNBカルボン酸ラベルし、次にODSカラムによりD, Lの分離を行ない、検出は蛍光検出計を用い、主としてピコモルレベルのアミノ酸を定量した。これにより、10mg〜100mgレベルの生体試料を用い、D, Lを分離し、20種のアミノ酸を40本の蛍光ピークとして分離した。蛍光ラベル化反応は、pH9の水溶液中にMNB試薬の酸クロリドをショッテンバウマン法でアミノ基にラベル方法で行ない、セリン等の水酸基はラベル化されない。 分離は逆層カラム系で行ない、炭酸カリウム緩衝液とアセトニトリルまたはテトラヒドロフランの混合溶媒で行ない、抽出ラベル化分離のすべてを含水系で行なうことが可能となった。 次年度はこれを反応部、分解部、検出部を含めたシステムとして構築する予定である。
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