研究課題/領域番号 |
08556017
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
作田 庄平 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (80192087)
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研究分担者 |
波多腰 信 住友化学工業株式会社, 農学化学品研究所, 主席研究員
片岡 宏誌 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (60202008)
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キーワード | 昆虫神経ペプチドホルモン / レセプター作用物質 / 昆虫成育制御物質 |
研究概要 |
昆虫に特有の脱皮、変態などの生命活動は、数多くの神経ペプチドホルモン類によって制御されており、これまでに、前胸腺刺激ホルモン(PTTH)やインスリン族ペプチドであるボンビキシンなどの構造、遺伝子あるいは受容体に関する多くの基礎知見が蓄積されてきた。それら、神経ペプチドホルモン類のアンタゴニストあるいはアゴニストは選択性の高い昆虫成育制御物質となる可能性を持つ。本研究では、昆虫神経ペプチドホルモンの受容体に作用する物質の検索を行い、それらを昆虫成育制御物質として応用することを目的とし、本年度は以下の研究を行った。 昨年度より引き続き、ボンビキシンの刺激により形態変化を起こすBM-N4細胞を用いた生物検定系により、活性物質の検索を進めた。その結果、目的のボンビキシンレセプター作用物質を得ることはできなかったが、Gordona属の一種と同定した一菌株が強い細胞凝集活性物質を生産することを見出した。その活性物質を単離したところマンノース、グルコース、グルクロン酸から構成される多糖であることが判明し、構造の詳細な解析と構造活性相関について検討した。さらに、ボンビキシンを固定したキュベットとボンビキシンレセプターを持つBM-N4細胞との結合を、生体分子間相互作用解析装置を利用して測定するアッセイ系を用いて、ボンビキシン、インスリンおよびそれらのアナログペプチドの阻害作用を測定し、ボンビキシンレセプター作用物質を得るにはその解析装置を用いる系が有用であることを示した。 PTTH受容体およびボンビキシン受容体については、レセプター作用物質を得るための新たな簡便な検索系を確立するために、それらの遺伝子解析およびCOS7細胞での発現を本年度も積極的に試みたが現在のところ成功には至っていない。また、カイコ利尿ホルモンについても構造および遺伝子を明らかにしたが、現在さらにその受容体遺伝子の取得を目指し実験を行っている。
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