今年度は、測定系の改良を重ねつつ、本研究の最終目的である柑橘果実の識別への適用を試みた。 測定系においては、Visual Baisic言語によるデータ収集プログラムを作成し、周波数カウンタ計器をGP-IBインターフェイスでWindowsパソコンから制御した。これらによって、一回のデータ測定にかかる時間が短縮し、6チャンネルの水晶振動子センサ・セルを使った測定が可能となった。また、GUI環境における簡単な操作で、安定した測定が行えるようになった。本研究では、ヒータでにおい試料を気化することによって、早い反応(周波数変化)が得られることと、周波数変位の感度が高くなることを特色としている。そこで、種々のヒータ温度に対するにおい識別の感度(周波数変位)を測定した結果、250℃で試料を気化することが柑橘系果実のにおい認識に効果的であることを明らかにした。また、前年度までにも検討を重ねてきたが、認識対象を柑橘果実と限った場合の吸着膜の種類と形成する吸着膜の厚さ等についても検討を行った。 また、収集したデータの分析方法(認識方法)についても検討を行った。ニューロ・アルゴリズムを使ったにおい識別プログラムをVisual Baisc言語を使って作成し、検討を重ねた。その結果、各センサ・セルの最大周波数変化だけでなく、各センサ・セルの周波数変化をパターン認識することが、においの識別に有効であることがわかった。
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