研究課題/領域番号 |
08556023
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
渡辺 直明 東京農工大学, 農学部, 助手 (10143637)
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研究分担者 |
神庭 正則 (株)日比谷アメニス, 空間緑花研究室, 室長代理
岩井 邦夫 (株)昭和電気, 関東営業所, 所長
佐藤 敬一 東京農工大学, 農学部, 助教授 (90178723)
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キーワード | 樹木診断 / AE発生特性 / 生立木 / 超音波CT / 非破壊検査 / 音波伝播特性 |
研究概要 |
本研究では樹木の通導組織の機能をAE検出で、幹内部の力学的支持能力を超音波CTによる画像化を行うことで、実験や試料採取の困難な老樹、巨樹の診断を可能にするシステム確立を目的として、8〜10年度で以下のような結果を得た。 樹木からのAEは日射量の変化に対応して発生し、蒸散に伴う通水現象をよく反映したが、衰退木では夜間の発生が特徴的に認められ、診断指標になると考えられた。通導組織構造の異なる樹種ではAE特性に樹種間差が明瞭にあったが、道管配列の分類群とは一致しなかった。一日当りの総AE発生量については環孔材ではケヤキ、ミズナラ、シオジの順に多く、散孔材ではブナは殆ど発生しなかったが、ヤシャブシでは大量に発生した。通導部での長期的なAE計測例はこれまでなかったため、散水停止後の枯死過程を9種でモニタリングした。AE発生は5〜10日で前兆的な増加があり、2週間ほどで萎れると1〜2桁多い異常な量となる一定のパターンがあった。このことは樹種や環境条件毎のパターンを一度測定しておけば、苗木生産やや街路樹などの適切な水分管理にAE計測モニタリングが利用できることを意味している。 重畳積分を用いた逆投影法を利用して、トーンバースト法で測定したところ直径30cm程度までの丸太の粗い画像化や人工的に設けた空洞の検出は可能であった。しかし、過去に行われた方法では木材での音波伝播を直線でとらえていた。丸太とそれを細分割した小丸太試料を作製し、幹横断面で音波伝播特性を調べたところ、センサー夾角が120°〜240°では放射方向を通り、それ以外の夾角ではセンサー間の最短直線という木材の異方性に基づく複合伝播経路が想定され、シミュレーション結果と実測値がよく一致した。
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