研究概要 |
本年度は、(1)摂餌行動の信号検出と給餌装置の試作,(2)自発摂餌学習と摂餌リズムに主眼を置き下記結果が得られた。 1.マダイは集団(20・50尾)でも個体でも容易に自発摂餌を学習し,明期型と暗期型の2型の活動リズムが観察された。しかし,摂餌活動の位相は容易に変位することから本質的に2相性(Dual phasing)の性質を持っていることが明らかとなった。恒明条件でフリーランリズムが,また制限自発摂餌で予知行動が観察され,摂餌リズムが生物時計で制御されていることが明らかとなった。(田畑満生) 2.マダイの2才魚で自発摂餌と自動給餌を用いて成長率と飼料効率を調べた。5・8月の実験では両方式での成長率に有為差は認められなかった。適切な報酬量の決定が課題となったため8・10月の実験では3段階の報酬量を用いたところ,最多報酬量が与えられたマダイの成長率は9月までは差がなかったものの水温が低下する10月に高くなった.手給餌と比較したところ成長率,飼料効率とも高い値を示した.(会田勝美) 3.ブリは1・3日目で自発摂餌を学習し,学習成立後は自発摂餌のみで継続飼育できた.摂餌活動はすべて明期に集中しており明瞭な日周リズムが観察された.自発摂餌で34日間飼育したところ,飼料効率は90.9・100.0%,増肉係数は1.00・1.10であった.(日高磐夫) 4.ニジマスを集団飼育(70・80g,20尾)して自発摂餌させた.一部の水槽では特定の魚だけがスイッチを押していることが分かった.現在,野外の実用規模実験や海産仔稚魚への応用を計画中である.(竹内俊郎) 5.自発摂餌装置,活動記録のプログラムおよびセンサーからコンピューターの間のコントロールユニットを作成した.市販フィーダーを用いたため信号から給餌までの応答時間が長すぎて魚の早期学習という点で問題が残ったため新フィーダーを開発中である.(市川眞祐)
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