種苗幼魚は篭の目合の大小により粗仕分け後、手選別で精仕分けし、規定以上の幼魚を出荷している。鮮魚の大小仕分けには重量選別及びロール方等が実用化されている。しかし、種苗幼魚では回転ロールとの接触により生ずる脱鱗や粘膜の剥離は、その後の成育に悪影響する。これまで、体形が安定したタイや、体形が柔軟で丸みを帯びており、腹腔が水中では膨張して一定の体形・体高を保持しているが、大気中では縮減し、また体外刺激により急激に増減するなどの体形的特徴が原因で、機械的な大小仕分けが困難なフグでも機械大小仕分けの可能性を明らかにした。本年度は、体形が扁平なヒラメの回転ロール式による大小仕分けを試みた。 [方法]魚体は、傾斜7度の並列方向に回転する2本のロール間隙が上端から下端まで漸次、拡大する一対のロール間を滑降・落下する。回転ロール上方からの散水で同ロール外周を水膜で被覆することにより、魚体の回転ロール間の接触抵抗を抑制しながら大小仕分けする状況のビデオ画像を撮影して解析した。なお、ヒラメは体長5.5〜9.7cmを供試した。 [結果]体幅Hと体長Lの関係はH=0.03L+3.41(相関係数R0.606)で示され、体幅・体長の関係は低く、しかも摂餌の有無や程度によりこれらの個体差が大きく、ロール式による大小仕分けは困難なことが判明した。また、ヒラメの眼部は突出しているため、眼部が体幅より広いので回転ロール式では眼部の損傷が懸念される。それ故、画像解析による大小仕分けの可否について検討するため、必須条件となる重複魚体の分離を振動板方式により試みたが、魚体が扁平なため重複魚体の分離は困難であった。ヒラメやカレイなどの扁平魚体の機械装置による大小仕分けは極めて困難と考えられる。
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