研究課題/領域番号 |
08556041
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
守田 和夫 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (70210169)
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研究分担者 |
鬼丸 博章 本坊酒造, バイオ研究所, 所長
林 恒生 豊国工業, 環境システム部, 室長
田原迫 昭爾 元田電子工業, FA農業研究所, 所長 (70041613)
宮本 真吾 日本大学, 農獣医学部, 講師 (20174211)
御木 英昌 鹿児島大学, 水産学部, 教授 (40041727)
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キーワード | 嫌気性発酵 / 二相式ファーメンター / 高濃度有機物 / 焼酎廃液 / COD / 発酵制御 / 好気性発酵 / 固液分離 |
研究概要 |
本研究は、農畜産業および食品工場から排出される高濃度有機廃液の効率的な廃水処理技術を確立するため、嫌気性発酵処理のための二相式ファーメンターを開発し、安定的かつ効率的な排水処理および発生バイオガスの有効利用を行うトータルシステムの構築を目的としている。本年度は試作した二相式ファーメンターの最終性能試験を行い、芋焼酎廃液を使った連続発酵処理実験とデータ収集を行った。その結果、pH、ガス発生量の変動からHRT減少速度は-0.18(1/day)以下で、-0.63-0.48(1/day)間では第1相の酸生成菌の流出が確認された。COD除去率は平均80%であり、COD除去率の最高値はHRT10の82%であったが、COD除去係数KはHRT7.9が最大となり、COD除去率とは異なる結果となった。ケモスタット連続培養を解析した結果、投入基質濃度10,000ppmでは、酸発酵はHRT14.4時間で菌体の生産性を最大にし、HRT11.4時間で菌体の流出が起こる。メタン発酵では、HRT6.9日で菌体の生産性が最大になり、HRT4.6日でメタン菌の流出が起こる。これより二相式ファーメンタでは滞留日数は7.5日が最適であることが判明した。次に、嫌気性発酵処理の安定性と効率向上を図る上で必須となる原料前処理としての固液分離について、処理効率が良く、ランニングコストの低い簡易型遠心濾過式固液分離装置を開発し、その性能試験を行った。その結果、固体部の繊維質は100%除去可能であり、その後の静置で固体残差は沈殿し、固液分離が容易に可能になった。また、上澄液は約20%程度のCOD減少が見られた。さらに、嫌気性発酵処理後の離脱液を活性汚泥により好気性発酵処理し、24時間でほぼ90%以上のCODの除去が可能であった。これら一連の実験により、固液分離、嫌気性、好気性発酵処理を組み合わせた廃液処理のトータルシステムが構築されると同時に、発生したバイオガスの有効利用性が明らかになった。
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