研究概要 |
携帯型メテオトロンの設計並びに試作を行った.設計は,農業気象が専門である代表者,それぞれ果樹園芸学,植物生産学,生物環境計測が専門である3名の研究分担者が,それぞれ専門の立場から意見を交換し実施した.特に考慮した点は,(1)温湿度処理を行うための制御チャンバーに加え、対照とするデータを得るために補助チャンバーを取り付けることができるようにしたこと,(2)チャンバーの大きさと形状を決定するに当って,植物体の形状や結露防止を考慮したこと,(3)植物に対してチャンバー内の風が悪影響を及ぼさないように,風量をできるだけ少なくしたこと,である. 試作した装置は,樹脂性チャンバー,温度制御ユニット,湿度制御ユニット,電源ユニットから構成されており,太陽電池で作動する.樹脂性チャンバーは,大きさが25×25×50(長さ)cmで,透明で柔軟性のあるテフロンで作られている.温度制御ユニットはサーモモジュール方式を採用している.湿度制御ユニットは,除湿が熱交換機表面への水分の凝縮,加湿が熱交換器に貯まった水分の蒸発に基づいている.電源ユニットはインバータ,スイッチング電源部,システムコントローラーより構成されている.太陽電池ユニットは電池パネルとバッテリ-より成っている.本装置の性能を光量子センサー,マイクロロガー,熱線風速計を用いて調べた.その結果,チャンバー内の光条件は良好であり,風速条件も1m/s程度と植物に影響を与えない範囲であった.また,温度は設定温度【plus-minus】0.5℃,湿度は設定値【plus-minus】5%とほぼ仕様通りの結果 来年度は,実際に果樹にセットした場合の性能を調べる.さらに,本装置を利用した熱帯果樹の開花・結実生理研究のための基礎データを得る.
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