研究課題/領域番号 |
08556045
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山田 雅保 京都大学, 農学研究科, 助教授 (10243073)
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研究分担者 |
藤谷 泰裕 大阪府農業技術センター, 研究員
南 直次郎 京都大学, 農学研究科, 助手 (30212236)
細井 美彦 近畿大学, 生物理工学部, 助教授 (70192739)
後藤 和文 鹿児島大学, 農学部, 教授 (30162142)
鈴木 逹行 山口大学, 農学部, 教授 (00216409)
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キーワード | 超音波画像 / 卵胞液吸引 / インヒビン / 過剰排卵 / 細胞質成熟促進因子 / ミッドカイン |
研究概要 |
本研究プロジェクトにおいて、超音波断層像から生体内の卵巣卵子の卵胞発育の動態を解析し、体外受精に利用する卵子の回収技術を体系化すると共に、体外培養胚の移植後の発育異常(過大児)が高頻度に起こる原因を究明することを目的としている。これまでに、ウシ卵巣の超音波画像から卵胞波の動態を観察することによって、排卵後に残存する中卵胞の卵胞液を吸引除去することによって、次期の卵胞波において小卵胞の著しい発育が誘導され、さらに吸引除去後、2日目に従来からの過剰排卵処置を施すことによって安定した過剰排卵を誘起できることを明らかにした。さらに、卵胞液中のインヒビンが小卵胞の発育を抑制する可能性が考えられることから、インヒビン抗体によるインヒビン活性の中和を試みた結果、卵胞液吸引に匹敵する小卵胞の発育を誘起できることが判明した。この様な方法で排卵誘起された胚を移植したところ、高率に産児まで発育することが確認された。一方、体外培養胚の移植後の発育異常を改善するために、卵胞卵子の生体内での成熟および受精後の発生機構を解明する目的で以下の実験を行った。卵胞液中には卵子の成熟を促進する活性と逆に抑制する活性とが共存することが報告されていること、および成長因子がヘパリンとの親和性によって大別されていることから、ウシ卵胞液をヘパリン結合分画と非結合分画とに分画し、それぞれの卵子成熟におよぼす効果について検討した。その結果、結合分画にウシ卵胞卵子の細胞質成熟を促進し、受精後の胚盤胞期への発生を著しく促進する活性が存在することが明らかにされた。さらに卵胞液中に存在するヘパリン結合性成長因子のひとつであるミッドカイン(マウスリコンビナントミッドカイン)が同等のウシ卵胞卵子の細胞質成熟促進活性を示すことから、卵胞液中の促進活性のひとつとして新たにミッドカインが同定された。現在、ウシミッドカインをバキュロウイルス発現系をもちいて作製し、そのウシ卵胞卵子の細胞質成熟への効果を検討するよう実験を遂行している。
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