研究課題
基盤研究(A)
本研究の目的はこれまで我々が開発した、動物用人工心肺装置および回路をよりよいものに改良し、安全な操作法を確立することにある。本年度は、従来の成果を充分に再検討および解析し、先ず以下の点について検討した。1 人工心肺装置のセッティングの検討:これまでの多くの体外循環施行時の、人工心肺や回路を再検討し、より装置間の距離を短縮化し、吸引回路を血液と心停止液および心筋保護液と別々のルートとし、より効率のよい回路設定を確立した。2 流体力学的研究:従来の人工心肺運転中のパラメーターを検討し、血行動態学的(血圧や送血流量)に、よりよい操作法を確立した。3 装置の改良:従来より獣医科領域で応用してきた人工心肺はすべて内部灌流型模型人工肺であったが、今回は外部灌流型模型人工肺を新しく作成し、従来の内部灌流型と血行動態学的に、また内分泌学的、血液凝固学的に、比較検討中である。また同時に新しく作成した、外部灌流型の膜型人工心肺をシリコーンおよびヘパリンコートし、無処理のものと比較検討中である。4 回路の改良:回路についても新しいタイプのヘパリンコート(マルチ-イオン複合体構造、ヘパリン濃度が高く、かつ血中への溶けだし速度が適切)を加え、従来のものと検討中である。以上のように現在までにすでに新しいタイプの人工心肺回路を作成しており、順次各種の測定結果により、さらなる装置の改良、回路の改良、充填液の改良、肺への抗血栓性賦与などの点において検討をしているところである。