研究課題
基盤研究(A)
獣医科領域においても診断・治療技術の発達および飼主の意識の高揚等により高度医療が要求される時代を迎えた。中でも循環器系疾患の治療としての外科的根治術等のニーズは高まりつつある。本研究の目的は、動物における心疾患の根治術や医学領域における長期生存動物用人工心肺装置、回路、膜型肺の改良、およびそれを臨床や実験の現場で安全かつ確実に使いこなすための施行方法を確立することにあり、以下の実験を実施し評価した。先ず、我々が開発した小動物用人工心肺装置が無血充填下でも使用可能なことを証明し、さらに臨床応用例においても多くの成功例を見るに至った。しかしその結果、多くの問題点も浮上してきた。それらの問題点を解決するために、初めに体外循環中および術後における溶血の小原因とされている充填液の組成について検討した。その結果、高張液である晶質液と膠質液の両者では溶血の程度に有意差は認められないことを明らかにした。次いで体外循環施行方法の違いによる手術成績の比較検討をした。具体的には内部灌流型人工肺を用いて常温下体外循環と中心冷却体外循環の比較検討をし、常温下体外循環法は手術時間も短く、寒冷ストレスによる内分泌変動が少ないが、長時間手術では酸素化に難点があること、逆に中心冷却体外循環は手術時間は延長するが酸素化や心機能評価において勝れてあり、長時間手術に適していることを明確にした。さらに人工肺の違いによる検討を内部灌流型と外部灌流型人工肺の両者間で実施し、多くの面において外部灌流型が勝れていることを明らかにした。引き続き、外部灌流型人工肺においてシリューンおよびヘパリンをコートしたヘパリンコーティング人工肺とノンコーティングの両者間において比較検討を進めている。
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