研究課題
森林破壊につながるとされる未利用状態の間伐材や社会問題化している工場残廃材、建築解体廃材を用いた環境浄化・制御材料の開発について、木材の熱変換過程で発現する特性を機能としてとらえ、それを応用した新しいNOx無害化変換材料の開発の可能性を検討し、以下の結果を得た。1)温度60℃から3000℃に至る昇温過程において発現する特性を整理して示すとともに昇温段階において選択的吸着性、選択的反応性(無害化反応)のあることを示した。2)炭化物の比表面積及び細孔体積は昇温とともに増加し、1000℃において最大値を示し、更に昇温を継続した場合、両者は低下することを確認した。3)昇温過程における木炭のπ電子濃度は500℃から急増して600〜700℃で最大値を示し、それ以上の昇温では漸減したことを把握し、昇温による電子動態の概要を統括した。4)木炭単独のNOxの吸着あるいは無害化変換は600℃焼成炭化のそれが最も優れており、市販活性炭、チタン酸化物及び木炭・チタン酸化物複合体のそれよりも高い性能を示した。5)木炭と遷移金属酸化物の複合材料によるNOx無害化変換では、Ti、Fe、V等いずれの遷移金属酸化物も効果的であったが、本研究ではTiO_2よりVO、V_2O_3、VO_2が高い性能を示した。6)木炭及び活性炭の比表面積、細孔体積の大きさとNOxの吸着及び無害化変換は比例関係のないことを示した。7)以上のほか多くの知見を得た。
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