研究課題/領域番号 |
08556055
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
村上 和雄 筑波大学, 応用生物化学系, 教授 (70110517)
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研究分担者 |
野村 達次 (財)実験動物中央研究所, 所長 (10072399)
杉山 文博 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (90226481)
深水 昭吉 筑波大学, 応用生物化学系, 助教授 (60199172)
宮崎 均 筑波大学, 応用生物化学系, 助教授 (40183636)
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キーワード | アンジオテンシノーゲン / 遺伝子欠損マウスス / ホモ欠損マウス / ヘテロ欠損マウス / アルドステロン |
研究概要 |
最近、アンジオテンシノーゲン(AG)遺伝子ホモ欠損マウスが、生後7日までに死亡することが明らかとなった。そこで、この死亡原因を解明するため、ホモ欠損である新生仔に生後7日間の生理食塩水投与を行った。新生仔は、ヘテロ欠損マウス同士の交配(母体のAG遺伝子は存在)、および、ホモ欠損マウス同士の交配(母体のAG遺伝子も存在しない)により得た。結果、ヘテロ欠損マウス産出のホモマウスでは86%、また、ホモ欠損マウス産出のホモマウスでは58%の個体が離乳期以降まで生存した。よって、ホモ欠損新生仔マウスは脱水死したと考えられた。そこで、ヘテロ欠損マウス産出のホモマウスにおける、生後0、14、30日令の腎臓を採取し、組織学的な解析を行ったところ、0日令では正常であったが、14日令では82%の個体の腎臓で野性型マススと比較して腎乳頭部が顕著に萎縮し、水腎症を呈していることが明らかとなった。また、30日令では、さらに著しい萎縮をおこしており、その後、腎臓障害により死亡する個体も確認された。この現象は、ホモ欠損マウス産出のホモマウスにおいてさらに顕著となり、生後0日令において37%の個体の腎臓で腎乳頭部の顕著な萎縮が確認されたのに加え、新生仔のうち蘇生しなかった個体の多くが、肺の拡張不全を起こしていることが明らかとなった。また、ホモ欠損マウスの30日令、180日令時の腎機能を評価したところ、両日令とも、野生型マウスと比較して、多飲多尿を示し、尿浸透圧は顕著に低下していた。さらに、30日令の尿中アルドステロン量は野生型マウスの半分の値であり、ホモ欠損マウスは腎臓の機能障害を起こしていることが明らかとなった。 以上の解析から、胎仔期の腎臓および肺の正常な発達にレニン・アンジオテンシン系は必要不可欠であるとともに、生後の腎臓の機能維持にも重要な役割を担っていることが示唆された。
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