研究課題/領域番号 |
08557002
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
解剖学一般(含組織学・発生学)
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
二重作 豊 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (50014197)
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研究分担者 |
大沢 久雄 (株)ニコンつくば研究所, 技術開発部, 係長
鈴木 正敏 (株)ニコン, 顕微鏡開発部, 係長
関矢 加智子 北里大学, 薬学部, 講師 (30050579)
矢野 美宰 北里大学, 医療衛生学部, 助手 (40255360)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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キーワード | 近接場走査光顕微鏡 / エバネッセント光 / 溶液中 / 原子間力顕微鏡 / 光散乱 / ストレプトリジン-O / 生体膜 / 動態観察 |
研究概要 |
1. エバネッセント光顕微鏡(ELM)の評価 1) 光顕微鏡部: 倒立型光顕微鏡をベースとし、標本の目的位置へ探針を運ぶ。 2) 原子間力顕微鏡(AFM)部: 100μm平方から100nmまでを探針走査し、10nm程度の解像カを持つ。 3) エバネッセント光顕微鏡部: 試料はガラス板又はマイカ板に載せ、裏側より臨界角以下でレーザー光を入射させ、AFM探針をタッピングモードで接近させて、エバネッセント光(EL)を散乱させた。ELは、光学顕微鏡の対物レンズより集光して、フォトマルチプライアで検出し、タッピングモードとロックインアンプを同期させて信号を取り出した。 2. 溶血毒素、streptolysin O(SLO)の動態観察: SLOによる生体膜上の孔形成は、数段の反応に分けて考えられる。(1)SLOは温度非依存的に膜表面に付着し、(2)膜内の指質流動に乗って移動してSLOは会合し、(3)SLOポリマーは膜表面に一重リングを形成する。(4)一重リングは二重リングへ形態変化を起こし膜内へ侵入または(5)膜内に侵入しながら一重から二重へ形態変化をして、(6)二重リングの親水性内壁と、脂質二重層の疎水性中間層の反発により開孔する。以上の内、未解決で残された(4)または(5)のどちらの過程かをELMに改良を加えながら、引き続き確認してゆく予定である。 3. 今後になお残された課題 1) 励起用レーザー光が、試料組織の膜構造等の微細構造で乱反射を起し、この迷光がELのSN比を悪化させている。 2) SLO分子による孔形成は、常温溶液中で1〜2分の反応時間で完結する。このため反応を遅らせる為に、反応液を冷却したが、毎分100nm以上の温度ドリフトが存在する。 3) 液中観察におけるタッピング振動と、液交換時に起る揺れの問題が存在する。 以上の諸問題を未解決に残したが、特に(1)はELMの本質的な問題で、抜本的な解決案が待たれる。
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