単離したモルモット心室筋細胞に炭素粉(直径1-5μm)を載せ、そのマーカーに顕微鏡のフォーカスを合わせてることによって、細胞の厚さの変化を測定した。マーカーの陰影の僅かに内側に光路ウィンドウを絞り、このウィンドウを通る光の強さをフォトマルで電圧に変換し、コンピューターに取り込み、フォーカスの位置と光の強さの関係を測定した。対物レンズを上下すると、光の強さは炭素粉にフォーカスが合った時に最小でそれより上下にフォーカスがずれるにつれ二次曲線的に増大した。チャンバー全体に当てた白色光を用いているので、コントロール記録においても実際の光の強さは液面の変化等によってドリフトを示すが二次曲線のピークの位置は変化いないことを確認した。低浸透圧(70%)負荷を行ったところ細胞膨化につれて二次曲線のピークの位置が実際に移動するのが観察された。細胞容積変化をon-lineでしかも連続に記録するデータ処理プログラムを開発した。 方法の妥当性を示すためイオン電流編間と細胞容積変化について系統的な研究をした。細胞に、例えば70%低浸透圧溶液を与えると、細胞の厚さは約2-3ミクロン増加した。この状態で、イソプレテレノールによってCl電流を活性化すると、細胞の厚さは元に帰った。この反応は、(1)AChで阻止される。(2)膜透過型のcAMP誘導体を与えても再現できた。(3)9ACでCFTR型Clチャネルをブロックすると、容積調節反応は阻止さた。(4)容積変化感受性ClチャネルをDNDSでブロックしても、反応は浅かった。(5)容積調節がおきているときに、溶接変化感受性Clチャネルの活性化を認めることは出来なかったが、CFTR型Clチャネルの活性化を認めることが出来た。これらの結果に基づいて、CFTR型Clチャネルの活性化が溶接調節の原因であることが強く支持された。
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